ぶどう膜炎

ぶどう膜炎とは

ぶどう膜というのは、あるひとつの部位を指すものではなく、虹彩、毛様体、脈絡膜を合わせた名称です。つまり、これらで起きている炎症(虹彩炎、毛様体炎、脈絡膜炎、虹彩毛様体炎 など)のことを総称してぶどう膜炎と言います。なおぶどう膜の組織というのは、多くの血管が集中しているという共通した特徴があります。そのため炎症を起こしやすくなるわけですが、その原因も様々で、なかには単なる眼疾患というわけでなく、全身疾患の一症状として現れることもあるので、原因をしっかり特定する必要があります。

発症のメカニズムですが、ぶどう膜炎を発症すると前房と硝子体に炎症細胞が広がるようになります。これにより飛蚊症(目の前に虫が飛んでいるように見える)、眼痛、物がかすんで見える、羞明などの症状がみられるようになります。人によっては重度になったり、片方の目だけ症状が出る場合もあります。両眼、交互に現れるということもあります。

原因については、細菌やウイルス、真菌などによる感染、免疫異常、全身疾患、外傷などのほか、特定できないということも少なからずあります。なお、免疫異常によって引き起こされるぶどう膜炎のうち、原田病、ベーチェット病、サルコイドーシスは、日本では三大ぶどう膜炎と呼ばれています。

検査について

ぶどう膜炎は原因を特定させる必要があるので、問診が重要です。具体的には、年齢や性別だけでなく出身地の確認、症状は慢性か急性か、症状は片眼か両眼か、外傷歴、既住歴、ペットの有無などを確認していきます。また眼科検査では、視力や眼圧、眼底、細隙灯検査のほか、隅角検査や蛍光眼底造影といった詳細な検査も行っていきます。また、全身疾患の一症状の可能性もあるので、検査として、胸部X線(レントゲン撮影)、血液一般検査、血清学的検査をしていくほか、医師が必要と判断すれば特殊検査(CT・MRI、髄液検査、HLA、)もするなどして原因を確定させるようにします。

治療について

ウイルスや細菌により引き起こされた感染性ぶどう膜炎であれば、抗菌薬や抗ウイルス薬を使用します。また非感染性によるぶどう膜炎の患者さんで、炎症を抑制する対症療法で治療する場合は、主に副腎皮質ステロイド薬を使用します。前部ぶどう膜炎(毛様体炎、虹彩炎 など)の患者さんには、同薬の点眼薬もしくは結膜下への注射で治療していきます。後部ぶどう膜炎(網脈絡膜炎、脈絡膜炎)の患者さんや前部ぶどう膜炎でも強い症状を訴えている患者さんには、ステロイド薬の内服や点滴を使用します。なお、ステロイド薬には眼圧を上昇させる副作用もあることから、症状がある程度落ち着いてきたら、非ステロイド系の消炎薬(NSAIDs)による投与に切り替えます。